地域のこと
季節ごとに変わる様相
南越前町の今庄地区は古くから交通の要として知られ、近畿地方と北陸地方各地を陸路移動する際に必ず通らなければならないため、北国街道沿いに軒を連ねる今庄地区は、「今庄宿」として旅人の疲れを癒す場所として栄えました。気候をいかしたそばの栽培や、江戸時代から続く酒蔵が4軒残るなど、2022年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された「今庄宿」のまち並みを中心としたまちづくりが進められています。現在でも酒蔵や当時の様式を残した民家などがあり、リノベーションにより店舗へと生まれ変わっているものもあります。
また、今庄駅を含む旧北陸線のトンネル群が国の登録有形文化財に登録されました。明治期に敦賀-福井間に鉄道が開通してから120周年を迎え、それと同時に開業した今庄駅は北陸線初の「立ち売り」や今庄そばの発祥である「立ち食いそば」が誕生するなど、今庄は歴史を経て「宿場町」から「鉄道の町」として脚光を浴びました。
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花はす
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広野ダム湖
海路の要とその景色
南越前町には江戸から明治時代にかけて行き交った北前船の船主を輩出した集落があります。その船主の邸宅は山側の旧道沿いに建ち並び、当時の面影を見ることができます。また交通の要所であった木ノ芽峠を通らず、敦賀からの海路で運んだ物資を、陸路で府中(現在の越前市)に届けるための馬借街道も残っています。
海沿いの道を通っていると、12月中旬から2月上旬にかけて冬の越前海岸を美しく彩る越前水仙の群生を見ることもできます。日本水仙の三大群生地の一つでもあり、海岸段丘を利用した山麓畑は福井を代表する風景にもなっています。
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越前水仙
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海沿いの丘と岩肌
人々の移動を支えたまち
南越前町には日本を代表する花ハスの生産地があり、その生産量は日本一を誇っています。毎年7月中旬から8月中旬にかけて、花ハスの色鮮やかな花が開く様子を臨むことができます。
また、里から見える日野山はその美しさから「越前富士」とも称され、紫式部は越前の国司となった父と来た際に、雪に覆われた日野山を見て歌を詠んだことも知られています
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宿場町の集落
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今庄駅構内に給水塔と給炭台