上山 優美さん

上山 優美さん

地元に生まれ、今庄宿で長年続く家業の精肉店を営む。名物はコロッケや焼き鳥、焼豚。最近は道の駅 南えちぜん山海里に焼肉弁当などの肉を楽しめるお弁当・お惣菜を出品しておられます。

「あの人は、いつも元気があるなぁ」と思ったことはありませんか?福井県南越前町にある宿場町“今庄宿”で精肉店を営む上山優美さんもその一人。いつも元気な上山さんに元気の秘訣を聞いたら、意外な答えが返ってきました。その答えとは。

私はずっと今庄に縛られている。
長男長女は家を継ぐのが田舎の風習なんですよね。

私は、今庄生まれの今庄育ち。兄弟は、女の子ばかりで長女だったから「家を継がないといけない」と両親から呪文のように聞かされてきました。だから、今庄から出たことがないです。

けど、もうすぐ60歳。生まれてからずっと、ここでしか生きたことがないから、都会に出ていった友人が楽しそうだなと感じていたんですよね。だから、60歳になったら、マンスリーマンションを借りて、東京に住んでみたいと思っていました(笑)もちろん、田舎は田舎で青年団とかあって、楽しいこともたくさんありますがね。同級生は半分くらいが地元に戻ってきました。特に家業があった人は必ず継いでいますね。そういうのが田舎の風習なのです。

私にも子どもが、女の子2人と男の子1人いますので、男の子には、福井で就職してほしいと思ったけど、家業を継いでと言うのも、かわいそうかなって思ったから言えなかったです。そしたら、福井の会社に入ってくれました。今は、出向で東京に行っています。けど、「自分たちが動ける間には自由にしていいけど、老後は面倒見てほしい」と言ったら、わかったよと言ってくれているので、ありがたいです。精肉店は継ぎたかったら継いだら良いし、本人の意志に任せます。本人の人生だから、自分たちから継いでほしいとはなかなか言えないですね(笑)

「動ける限りは、頑張る」と決意しました。

最近、地域から若者が出ていくんです。進学とか就職の機会に街の方に行ってしまって。だから、地元住民を相手にする商売をしている私たちは、これから先も事業を継続していけるかと心配になっていました。そんな頃に近くに道の駅が新しくできたので、コロッケや味付き鶏肉などの肉製品を納品し始めました。そしたら、ありがたいことによく売れるんです。

道の駅でも商品が売れるし、うちが辞めると困る人がいる。だから「動ける限りはやる」と決意しました。同年代の女性が何人か道の駅に納品していて、お互いに「休むなや」と励まし合っているのもモチベーションになっていますね。

もう少し頑張ると決意したので、機材とかも新しいのを購入しました。お店の冷蔵庫は納品してくれた業者さんが故障する度になんとか直してくれるし、今やめたら借金が残るだけだから、頑張りますよ。(笑)

この続きは『家庭医とゲストハウスオーナーが診るウェルビーイングな暮らし〜里山で生きる10人〜』でご覧いただけます。